私は夢の国で働いていた時の出来事です。 アトラクションのキャストとして日々ゲストの方とコミュニケーションを取っていると、ものすごく特別な事情で来ている方もたまにいらっしゃいます。 ある日、いつものように手を振ったりゲストの方と話していると、どこを目指しているでもなく散歩をしている高齢のご夫婦がいました。私はその時手が空いていたので、「こんにちは!景色綺麗ですよね。」と話しかけると、「そうだなあ、懐かしくて色々みてしまう」と旦那様が言いました。 “あ、昔よく来ていて久しぶりなのかな”と思い、 「昔よく来られていたのですか?」と尋ねると 「そうだね、僕はここを作ったんだ。このエリアを担当してた。」と、なんとこの方、設計と工事に携わっていた方だったのです。それから続けて、「オープンの日はこの人(奥さん)を連れて行ったんだ。ここが俺が作ったとこだよ!って自慢してね。」「ただ、ちょっと前に僕が癌になってしまって、やっと治ったから久しぶりに遊びに来たんだ」と話してくれました。 「だから、本当に久しぶりに乗ろうと思ったけど、凄く並んでるから体力がもたなくてね。仕方ないから眺めてたんだ」と。その時点で僕の涙腺は崩壊しそうだったのですが 何か特別なことをしてあげたいと思い、「僕ができる最大限の魔法をかけます」なんてカッコつけて、並ばずに乗れる特別なルートから乗り場までご案内しました。扉を開けると急に乗り場につながるのですが、場所がわかった瞬間お二人とも泣いて喜んでくれました。もちろん僕も号泣です。笑 それから、乗り終わった後もわざわざ僕のところへ来てお礼を言ってくださり、”今までで最高のデートでした”との言葉をいただいた時は本当にこの仕事をしていてよかったなあと感じました。