短期の派遣職員として保険会社に行っていたときの話です。 私がいた部署は、コールセンターやウェブサイトを通して加入者から保険金支払申請があった事故やケガの内容を確認していました。保険会社では、自分が担当になった案件で対応の迷うものや内容の悲惨なものなどを部署の誰かと情報共有することがあります。この話もその中の1つです。 ある日、私はいつも通り申請があった案件に目を通していました。すると、席が私と背中合わせのTさんが「これちょっと読んでみて。」と私に1つの申請書を手渡してきました。どういう内容だろうと思い、受け取って内容を確認してみると、プリントアウトされた申請書にはこうありました。「申請者(70代の男性)が自宅のお風呂場で滑って転倒。頭と背中を打撲。1週間後に仰向けで倒れているところを同居家族に発見され、救急車で病院へ搬送される。」私は読んだままを想像し、ケガされたご本人には大変失礼ながらも思わず笑ってしまいました。Tさんも同じだったようで、1人ではこの内容を抱えきれず、私に申請書を手渡したのでした。 Tさんも私も、「1週間後」が「1時間後」の入力間違いであることはすぐにわかりました。それだけに、同居家族が1週間もお風呂場で仰向けに転倒していることに気付かないことを想像するとおかしくて、私たちはその日何度も思い出し笑いしてしまったのでした。