私が昔ガソリンスタンドで働いていた時の話なのですが、同僚にT君という面白い男がいました。当時私は20歳くらいでT君は高校2年か3年生くらいでした。高校生なのに老けてて顔がおっさんみたいでした。でも愛嬌はありましたので同僚やお客様に人気でした。そしてみんなで楽しく仕事をしてました。そんなある日とあるアルバイトの母親が亡くなるっといった出来事がありました。同じ仲間の母親が亡くなったということで通夜だけは行かなければ!ということで仕事が終わった後にみんなで通夜に行こうということになり、T君も行くことになりました。通夜会場に着くとちょうど何人か焼香の順番待ちをしていたので私たちは並ぶことにしました。私たちの団体の中ではT君が一番でした。焼香する場所は一段高くなっていて畳が引いてある場所に靴を脱いで上がり、座布団に座って焼香するというタイプでした。通夜会場は悲しみに包まれて誰も笑ったりなどしてません、当然です。私たちも神妙な面持ちで静かに順番を待ってました。そしてT君の順番が回ってきました。私たちはそれを見守りました。靴を脱いで一段高い畳の上に上がり正座しました。正座すると両足の裏が見えるのですが、T君の足の裏にどこで踏んだかガムテープが引っ付いてました。かれは神妙な面持ちで焼香して祈っています。私たちは笑いをこらえるのに必死でした。普段だったらそんなに笑うことじゃないのですが、通夜会場、T君、高校生、おっさん、ガムテープなどがかっさなってツボにはまってしまったんでしょう、笑いをこらえるのに必死で涙を流してました。何とかこらえることができましたが、数日後T君にガムテープのことを言ったら後で気づいたらしく恥ずかしい思いをしたと言ってました。いまではいい思い出です。